2025.11.19 ロザリオ学園 ブログ
秋の風が心地よく、木々も少しずつ色づき始めました。通勤途中に見えるみかん畑も、オレンジ色に染まり始め、季節の移ろいをそっと教えてくれます。子どもたちの笑い声が響く園生活の日々の営みの中に、たくさんの「ありがとう」と「うれしい」が詰まっています。

最近、子どもたちを取り巻く環境は大きく変わってきました。情報が溢れ、忙しさの中で、心が置き去りになりそうな時もあります。でも、そんな時こそ、地域のぬくもりや人とのつながりが、子どもたちやご家族の心をそっと支えてくれるのだと感じる毎日です。
八幡浜という町には、そんな温かさがあります。この園に勤務しご家族との関わりの中で、少しずつ信頼が育まれ、子どもたちひとりひとりが自分らしく歩み、みんなの笑顔がより輝いて見えるようになりました。地域の方々の見守りや行事を通じた触れ合いが、子どもたちの心に「安心」と「誇り」を育ててくれているようです。
私はこの夏、八幡浜市で開催された「こどもまんなか プロジェクト」に参加させていただきました。市が掲げた宣言には、「子どもの権利を尊重し、子育てに悩む人を受けとめ、地域全体で子どもを守り育てる」という力強いメッセージが込められていました。こども家庭庁が提唱する「こどもまんなか社会」の理念にも通じるこの取り組みです。八幡浜市では小学生から高校生までの子どもたちが集い、子どもたちの声を聴くためのプロジェクトが行われました。子どもたちの声には、八幡浜の未来が広がる熱い願と思いが込められていて、私たち大人が耳を傾ける必要性を深く感じました。そして、地域の未来を共に創っていく大切さを改めて教えてくれました。
そして、この夏にはもう一つ良き出会いがありました。園の学校区にある公民館の行事に参加し、地域の方々と交流する機会がありました。驚いたことに、地域を支えておられる先輩方の中には、八幡浜聖母幼稚園の卒園生が多くいらっしゃいました。皆さんが当時のことを懐かしそうに語り、カトリック園で育ったこと、神父様との出会い、祈りや先生方との出会いに感謝し、今も誇りに思ってくださっているとのお話に、胸がとても熱くなりました。
昨年、園は創立75周年という大きな節目を迎えました。長い年月の中で、たくさんの子どもたちがこの場所で育ち、地域へと羽ばたいていきました。その一人ひとりの記憶が、今も地域の中で息づいていることを実感し、「この町で育ったこと、この園との出会いが、今の自分の土台になっている」という言葉の重みを深く感じました。
今、この八幡浜市では若者の多くが進学や就職を機に外へと旅立ち、人口減少が進んでいます。けれども、私たちがこの町で育てたいのは、ただの思い出ではなく、「この町を愛する心の根っこ」。たとえ故郷を離れても、八幡浜を大切に思い、誇りを持って語れるような、そんな土台を子どもたちの中に育てていきたいと願っています。

写真: 2025年10月 八幡浜お祭り~地域の行事~ てやてや踊りフェスティバル~
11月は、感謝を伝える季節。子どもたちの成長、ご家族とのつながり、地域の支えに、心からの「ありがとう」を込めて。これからも、この町で育まれる小さな命の輝きを、地域の皆さんと共に大切に見守り、自分らしく生き生きと成長できるように、モンテッソーリ教育を実践しながら教職員とともに愛情をもって子どもたちを大切に育んで参りたいと思います。
八幡浜聖母幼稚園
松本 綾美
カテゴリー
アーカイブ