学校法人 ロザリオ学園

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2017.03.30 ブログ

祈りの時間

 

2月3日の祈りの時間のテーマは「節分について」でした。聖書に描かれているキリスト教的世界観を踏まえて,日本の歴史的文化である「節分」をどのように捉え,その本質的な意味を子どもたちに伝えるのか。すなわち,キリストの教えを日本の文化を通して表現していくというインカルチュレーション(文化受容)の課題であり,担当の先生の腕が試される時です

担当の中村先生は,まず「節分」の意味について園児たちに説明しました。

「節分というのは『季節を分ける』と書きます。別の言い方をすると,季節の変わり目ということになります。日本には,どんな季節があるかなあ。」と子どもたちに問いかけました。


そして,「そう,春・夏・秋・冬ですよね。」と言いながら季節の表を紹介しました。


「春から夏へ,夏から秋へ,秋から冬,そして冬から春へ。季節の変わり目は,4回あるから,ほんとうだったら,節分と言われる日は4回あります。だけど,一年に一回しか豆まきをしないのは,どうしてだろう・・・それは,今と昔では,カレンダーの作り方が違うんです。」と言いながら旧暦の説明をしました。

「みんなは,冬休み12月31日には,年越しそばを食べて大晦日を過ごしました。そして,新しい年,1月1日を迎えましたよね。それと同じで,昔は,2月3日が,一年の終わりで,大晦日と同じ。2月4日が,1月1日と同じで一年の始まりだったんです。だから,新しい年を迎えるために悪い鬼を追い払って,今年一年間幸せに過ごせますようにとの思いを込めて,2月3日に豆まきをするようになりました。」

それではどうして豆を投げるようになったのでしょうか?

「昔々,京都で鬼が現れたときに鬼を追い払うために炒った大豆を投げたのが始まりです。豆を鬼の目に投げることで鬼を追い払うことができると信じられてきたので,今は,皆で豆をまくようになりました。そして,豆は,福(幸せなこと)を呼び込むことのできる力を持った食べ物だそうです。だから,豆まきのあとは,年の数だけ豆を食べて,今年一年間,元気でいい年になりますようにとの願いを込めます。みんなも,今日のお弁当の時に食べるからね。」

次に鬼についての話です。日本の鬼は,いわゆるキリスト教の言うところの悪魔とは違いますが,人間に対して否定的な作用を及ぼし,一人ひとりの中にあるマイナス要因を自分で克服することを困難にしているという意味では共通するところもあります。そこで,この共通するイメージを通して両者が人間に及ぼす否定的な作用を克服する方法を子どもたちに伝えるように工夫してみました。

「では,鬼ってどこにいるんだろう・・・。実はね・・・鬼は,目に見えないけどみんなの近くにいるんだよ。 鬼は,目に見えないけど,悪いことを引き起こす魔物なんです。この周りにもいるかもしれない。もしかしたらみんなの心の中にもいろいろな鬼が隠れているのではないでしょうか。」

まず,先生一人ひとりが自分の心の中にある鬼を紹介していったところ,子どもたちは先生の中にも鬼がいるんだと,とても関心を持って自分の心の中の鬼と照らし合わせながら熱心に聞いていました。

 
そのあとに,子ども数人にも質問してみました。パネルに大きなハート型の心を貼って,そこにいろんな心の鬼を貼り付けていきました。


「鬼が住んでいるとね,いいことが逃げて悪いことが起きるから,今日は,周りにいる鬼やみんなの中に住んでいる鬼を退治しましょう。でも,豆まきをして追い払うだけでは,鬼はすぐまたみんなの心に戻ってきます。鬼が戻ってこないように,みんな先生と約束してほしいことがあります。

1つ目・・・困っている人を見たら助けてあげられる思いやりの気持ちを持ってください。

2つ目・・・感謝の気持ちをもちましょう。いつもみんなを見守ってくださる神さま,そしてみんなのことを助けてくれるおともだちや家族の人や先生。みんなにありがとうという気持ちをもってください。

3つ目・・・諦めない強い心をもってください。もう無理だからやめた,とすぐに投げ出すと強い心は育ちません。自分を信じていろいろなことにどんどん挑戦してみてください。この3つのお約束を心の中に入れておいてください。そうすると,みんなの心に鬼はいなくなり,豊かできれいな心のみんなでいられますからね。」

「他に節分では,いろいろなことをします。

やいかがし・・・いわしのさかなの頭を焼いて,ヒイラギという葉の枝に刺したものです。鬼は,魚のにおいが嫌いで,とげとげしたものもいやなので,家の入り口に置いて,鬼を追い払いました。

恵方巻・・・巻き寿司をその年の神さまがいると言われている方向を向いて食べることで,今年一年幸せに過ごせますようにとお願いをします。」

「では,みんなの心の中の鬼を退治して,今年一年元気で無事に過ごすことができるように園長先生とお祈りをしましょう。」

祈りの時間のあとは,園庭に出てみんなで豆まきをしました。先ほど確認した一人ひとりの中の鬼を追い出すために一心に豆をまいています。

 

 
祈りの時間で学んだことの内容が,子どもたちの中で具体的に実践されているという意味では,節分の意味を子どもたちの理解に合わせて体験できた有意義なひと時でした。子どもたちも自分たちの心の中がきれいになったので,はれやかな顔をしています。

愛和聖母幼稚園
園長 田中正史

 

 

 

 

 

 

 

 

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